相続税申告の流れ
被相続人(亡くなった方)から財産を相続した場合、相続税の申告は必ずしも発生するものではありません。
相続した財産の額が税法で定められている基準を超えると、相続税の申告や納税が必要になります。
この記事では、相続税申告の流れについて解説します。
相続税の申告が必要なケースとは
相続税の申告が必要になるケースとして、遺産総額が相続税の基礎控除額を上回っているときが挙げられます。
相続税の基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の式で計算することができます。
法定相続人とは、民法で定められた、被相続人の財産を相続する権利を持つひとを指します。
相続税申告の流れについて
相続税を申告する流れについて、順を追って確認していきます。
遺言の有無の確認
最初に、遺言書があるかどうか確認します。
遺言書がある場合、基本的には遺言書の内容に従って遺産分割を行います。
自筆証書遺言と秘密証書遺言は、裁判所での検認手続きを経ずに開封すると無効になるため注意してください。
相続人調査により法定相続人を確定させる
遺言書が残されていない場合、もしくは遺言書に書かれていない財産があった場合には、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を取得します。
戸籍謄本をもとに相続人調査を行い、財産を相続する権利のある法定相続人を確定させます。
相続財産調査により相続財産を確定させる
遺言がない場合には、被相続人の相続財産を調査して相続財産を確定させ、必要な場合には財産目録(財産の一覧表)を作成します。
相続人の承認手続き
財産を相続する「単純承認」や「限定承認」、または「相続放棄」のいずれかを選択します。
相続放棄をする場合には、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てが必要です。
被相続人の所得税の準確定申告
被相続人が以下に該当する場合には、相続発生後4か月以内に準確定申告を行う必要があります。
- 事業所得や不動産所得があり毎年確定申告をしていた場合
- 2,000万円以上の収入があった場合
- 複数の会社から収入があり、従たる給与が年20万円以上の場合
- 公的年金による収入が400万円以上あった場合
- 給与、退職金以外で20万円以上の収入があった場合
- 生前に株式や不動産などを売却し、譲渡所得にかかる納税が発生していた場合
遺産を分割する
遺言書がある場合には、遺言書通りに遺産を分割します。
遺言書がないときには遺産分割協議にて相続人全員で話し合いをし、分割方法や割合を決めて遺産を分割します。
相続税申告と納税
相続税の申告や納税が必要な場合には、相続の発生を知った日の翌日から10か月以内に申告と納税が必要です。
まとめ
相続税の申告は多くの手順を経なければならず、専門的な知識や正確な書類作成が求められます。
特に申告期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税が課される可能性があるため注意が必要です。
複雑で手間のかかる相続手続きを期限内にスムーズに進めるためには、税理士への相談をおすすめします。
税理士は税務のプロとして的確なアドバイスを提供し、安心して相続手続きを進めるサポートが可能です。